コスタリカ　ラ・カンデリージャ農園　ビジャロボス（アナエロビコ）

＜アナエロビコもあります＞

昨年の１１月から全４弾にわたってお送りしている「コスタリカ　ラ・カンデリージャ農園シリーズ」。
第３弾となる今回は、いよいよアナエロビコの登場です。
これまで精製方法は、ハニー、ウォッシュドと来ていましたので、３種類目ですね。

店主本人としては、正直当店のラインナップにはアナエロビコは必須ではないかなと思っているのですが、今回は敢えて、アナエロビコも作ってもらいました。

それは、やってみたい品種をラ・カンデリージャ農園のリストの中から見つけたからです。

＜ちょっと珍しい「ビジャロボス」＞

その品種が「ビジャロボス」です。

↑ビジャロボスが栽培されている農園で飼われている牛さんです。
↑先月販売のゲイシャも同じ農園です。

コスタリカで発見された品種なのですが、同じくコスタリカで発見されて同じような名前の「ビジャサルチ」という品種があります。

ビジャロボス→ティピカの突然変異種
ビジャサルチ→ブルボンの突然変異種

という違いがあって、「どっちがどっちだったっけ？」と毎回のように混乱する品種としてお馴染みです。

ビジャサルチの方はコスタリカでは、ぼちぼち見掛ける品種ですが、ビジャロボスはかなりレアなイメージがあります。
初めてコスタリカに出張した際に買い付けたかな？というくらいで、それ以外ではほぼ見掛けない品種です。

そんな品種をラ・カンデリージャ農園で収穫できるとなれば、一度は買っておかないと後悔することになるので、買い付けました。

ただ、記憶の中のビジャロボスは、正直なところ品種としてはそこまで強い特徴があった覚えがないのです。
「バランス型で飲みやすい感じの品種」というイメージだったので、そのままウォッシュドとかではせっかく買い付けるのに面白くない。

でも逆に、ビジャロボスのアナエロビコというコーヒーは、それこそ見つけられるものではないな。と思ったので、アナエロビコを指定しました。

＜良い意味でアナエロビコらしくなくフルーティ＞

アナエロビコを指定して一つだけ不安だったのは、アナエロビコ特有の風味が強く出てしまうことでした。
多くのアナエロビコ精製のコーヒーは、味噌やしょうゆのような発酵食品系のフレーバーが出ていて、飲みにくいと感じる方も多いと考えています。

この発酵食品系のフレーバーは、当店としてはあまり出て欲しくない風味と考えていますので、アナエロビコはなくてもいいなと思うのです。

しかし、今回のラ・カンデリージャ農園のアナエロビコは、良い意味で裏切られました。

この発酵食品系のフレーバーはほとんど感じられないのです。
それよりも、ナチュラル精製のようなフルーティさがしっかり出ています。

そういう意味でホントにアナエロビコなの？と思うかもしれませんが、ただのナチュラル精製よりも複雑な風味になっていますので、アナエロビコ精製はされています。

そして面白いのは、ナチュラル精製のようなベリーの果実感もあるのですが、このコーヒーはトロピカルフルーツの果実感もあります。
パパイヤやパイナップルを思わせるような、舌がキュッとなる感じがありますし、甘さの種類もこのフルーツの方向性が含まれていると思います。

ただ、この甘さとワイン感が絡まって複雑さが出ていますので、今まであまり飲んだことのないタイプの風味になっています。

焙煎度合は、ハイローストにしました。

同じハイローストでも、ちょっと火を入れ気味にしていて、酸ばかりが立たないようにしています。

アナエロビコ精製もまだここ数年で出てきた精製方法ですし、生産者の方でもいろいろ試されていて、ノウハウが貯まっている最中なのだと思います。

１０年くらい前にナチュラル精製がそうであったように、アナエロビコ精製もまだまだ改良の余地があるのかなと思わせてくれるコーヒーです。
このアプローチなら、アナエロビコ精製もラインナップに加えてもいいなあと思います。

【豆についての情報】

生産国：コスタリカ
地域：タラス
品種：ビジャロボス
精製：アナエロビコ・ナチュラル