コスタリカ　ラ・カンデリージャ農園　ゲイシャ（ウォッシュド）

＜初のゲイシャを初の精製で＞

２０２２ー２３シーズンの現地買付豆は、コスタリカのラ・カンデリージャ農園にお願いしています。

今回の買付は農園と直接やり取りして作ってもらったのですが、「４つの精製方法を４つの品種で」というテーマで選んでいます。

第１弾はティピカとハニーの組み合わせでしたが、今回はゲイシャのウォッシュドです。
１２月は「周年特別入荷豆」として最近はゲイシャを販売していましたので、今年の特別入荷豆はこれになります。

今回、買付でやり取りをさせてもらったのは、こちらのリカルド君です。



農園主の息子さんで、２０２０年の中米出張時に農園を訪問した際にも、いろいろと案内してくれました。
当時はまだ大学生でしたが、今は農園のメンバーに入って自分の農園も持っています。

そのリカルド君が今年の１０月に来日していて、お店にも来てくれました。



この時にもいろいろお話を聞いて、今回のゲイシャは素晴らしいと言っていました。

＜コスタリカで「フリーウォッシュド」をやるのがポイント＞

今回は、ラ・カンデリージャ農園のゲイシャを初めて入荷するということで、精製由来の特殊な風味が着かない、ウォッシュドでお願いすることにしました。

ここで今回のこだわりポイントなのですが、ウォッシュドと言っても、実は２種類あります。

・伝統的かつ一般的な「フリーウォッシュド」
摘み取ってきたコーヒーの実から果肉を剥いた後、水を張った水槽に２４時間程度浮かべます。その後水と一緒に水路に流して、豆の表面に付いている粘着質（ミューシレージ）を取り除いた後、天日乾燥という流れです。
「フリー」は「free（自由）」ではなくて、「fully（十分に）」の方で、Fully Washedです。間違えやすいので、店主は敢えて「フルウォッシュ」という言い方をすることもあります。

・コスタリカではこちら多い「マシーンウォッシュド」
昔は「セミウォッシュド」と呼ばれた、水を使わないウォッシュドです。
「ミューシレージリムーバー」というマシンを使って、ミューシレージを除去した後に天日乾燥という流れで、コスタリカではこちらの方が一般的です。

ということで、コスタリカで「ウォッシュド」というと、ほとんどの場合「マシーンウォッシュド」になるのですが、フリーウォッシュドが可能か聞いたらできるとのことでしたので、お願いしました。

もちろん、マシーンウォッシュドと一緒に飲み比べないと分からないと思いますが、「コスタリカのフリーウォッシュド」はなかなか飲めないので、そこを楽しみます。

リカルド君も自分で焙煎してみて、「マシーンウォッシュドと全く違って難しかったけど、とても美味しい」と新たな発見があったようです。

＜酸と甘さはグレープフルーツ。余韻も長い＞

まず、ゲイシャとしてのポテンシャルを考えると、かなり高いコーヒーと言えると感じました。
ゲイシャもいろいろな産地で収穫されたものが出ていますが、結局パナマかグアテマラ辺りが強い印象です。

コスタリカのゲイシャは少し風味が大人しいものが多く、ゲイシャに対する期待感に合わないこともしばしば。
そのコスタリカのゲイシャではあるのですが、ゲイシャらしい酸と香りがハッキリ感じられて質の高さを感じます。

酸は明るくジューシー。ここに「ハニー精製だったかな？」と思うくらいのハチミツを連想させる甘みがあります。
この両者が組み合わさって風味を感じられるので、グレープフルーツを連想します。

当店ではゲイシャには「甘み」を求めます。
この甘みをしっかり持っているゲイシャは少し深煎り（と言っても浅煎りの領域ですが）にできて、風味に厚みを出すことができます。

この風味の厚みが飲んだ時の満足度に繋がるのですが、これを引き出せるゲイシャは実はそんなに多くありません。
ラ・カンデリージャ農園のゲイシャはそれをしっかり感じられますし、フローラルな香りと甘みが余韻に長く残って飲んだ後も楽しめます。

焙煎度合は、ミディアムローストですが、ハイローストとの境目辺りです。

もっと酸や甘みにフォーカスした焙煎もできるかと思いますが、そこは両取りを狙うのが当店の焙煎の特徴です。
その豆が持つ特徴を余すところなく引き出しつつ、飲みやすいと感じるバランスに整えて仕上げるのが当店の豆の特徴と言えます。

ちなみにフリーウォッシュドらしさは、この各特徴の出方にも表れているかもしれませんが、やはり「際立ったクリーンさ」です。
最後まで飽くまで濁らず、舌を滑るように流れていく質感にも注目ですよ。

【豆についての情報】

生産国：コスタリカ
地域：タラス
品種：ゲイシャ
精製：フリーウォッシュド